2017年12月25日

コラム「換気システムの課題とこれからの住宅換気」・その6

【コラム】北海道科学大学工学部建築学科教授・当会副理事長 福島明先生
「換気システムの課題とこれからの住宅換気」

6.暖房・冷房と換気(最終回)

 住宅の換気を計画する時、暖房・冷房との関わりは、とても大切です。換気を味方につければ快適性もエネルギー性能も格段に高まりますが、配慮なしに計画して、暖冷房の設備と喧嘩する結果になれば、快適性もエネルギー性能も阻害される結果になります。高性能住宅では、暖房に必要なエネルギーの半分以上を換気が占めるのですから、当然ですよね。暖房・冷房と換気の関わり、そして快適な室内環境と換気について考えてみましょう。

■床下暖房と換気

 住宅の断熱気密性が高くなると、設備が変わります。換気と床下暖房との出会いは衝撃的です。(写真1-3)のように、ベランダ窓の下に床下暖房をしたら、床の表面温度が室温より少し高い温度で、全く均一な温度となりました。どんな高度な床暖房設備でも実現することが難しいのではないでしょうか?ここに外気を入れることで、換気による寒さを完全に防ぐことが出来たのです。私は自然対流派ですが、最近多くの技術開発がされていますから、お好みのものを試してみるのも良いかもしれません。基本は高断熱高気密です。それさえ守っていれば、失敗のリスクはとても少ないのです。基礎断熱にまつわる床下の湿気環境の悪化を心配される方も少なくありません。床下暖房で床下を室内に開放し、冬の間に徹底的に乾燥することで、そうした心配を解消する上でも、期待大です。


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写真1  床下放熱器


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写真2  ベランダ周りの床


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写真3  暖房時のサーモカメラ


■熱回収換気は暖房器?

 最近あるハウスメーカーと新たな熱交換換気システムを開発しました(図1)。もともと電機メーカーが開発した装置をベースにしていますが、制御の方法と給排気の方法が独特です。まず装置は基礎断熱した床下に、そのまま床下に熱回収した空気を供給します。床下空間をチャンバーとして各室に供給するシステムです。


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図1  熱回収換気システムとその制御方法


 特徴的なのが、外気温度で熱回収をしたり止めたりすることと、機械換気量自体を制御することです。こうすると冬は暖房、夏は外気冷房として機能します。熱交換換気装置は暖房器なのですから、夏は使っちゃいけないですよね。冷房を始めると熱回収換気に戻るのですが、その期間は本当に極わずかです。ダクト配管を極力排し、風量を適切にコントロールした結果、電気代は3種換気と同等以下で高い省エネルギー性が期待できるシステムになりました。
 最も注意しなくてはならないのが、フィルターです。床下に別置きフィルターボックスを設置しています。フィルターの床下設置は、保守行動を誘発します。私達が調べたところ152軒中、150軒のお宅で適正に清掃されていました。今後は、電気集塵(写真4)などフィルターリング性能に優れた装置を加えることで、更に保守負担を減らし高い空気清浄性を確保することが期待されます。
 熱回収換気装置はまだまだ多くの改題を抱えていますが、工夫次第で安心で高い効果が期待できるものとなります。


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写真4  トルネックスの帯電フィルター


■夏換気をどう考えるか

 夏は通風、と考えていませんか?縁側の障子を開け放っての通風をイメージしますが、外部環境の悪化やプライバシー、狭小な敷地が当たりまえの昨今の住宅地では、もはやこうした通風は、快適でもなければ気持ちのよいものではありません。これからは、熱気を排出する換気と、空気質を高めるための気持ちのよい換気を考えるべきときでしょう。
 
 図2は、夏を涼しく過ごすための基本的なアイディアです。しっかり断熱をすると、壁や屋根からはほとんど熱は入ってきません。僅かな日よけの工夫があれば、少なくとも外気温度が30℃を超えなければ、涼しく過ごすことができるはずです。そして、おすすめしたいのが高窓を一つ設けること。これを夏の間はいつも空けておく。これだけで、必要十分な換気が確保されます。図中の写真は、私の自宅ですが、寄棟の最上部に塔屋を作り、突き出しの窓を一つ、これを6月から9月まで空けておきます。これだけで、空気がどれだけ気持ちよく、そして涼しさをもたらすことか。この時、注意が必要なのは、高窓の位置です。必ず、天井面ギリギリの高さに設けること。天井付近に熱い空気が溜まると、天井面の温度が高くなり、輻射暖房のようになります。



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図2  夏を涼しくする工夫


図3は、斜め天井と平天井で空気がどのように流れるか実験したものです。天井付近にたまった熱を上手に排出することができれば、冷房時に、空気の温度をさほど下げなくても快適な輻射環境を実現できると考えられます。これを熱対流換気と呼びますが、開口は1面配置が原則です。2面に設けると、通風換気が多すぎて、開閉操作が必要になりますし、塵埃や花粉など風に乗って入ってくる物質が入ってきてしまいます。
 高断熱高気密な住宅では、夏の通風ではなく換気を考える事が大切だとお分かりいただけたでしょうか?


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図3  熱対流換気の仕組み(フラット天井と斜め天井の熱対流の違い)


出展:外気冷房のための窓設計ガイドライン(北方建築総合研究所配布パンフレット)
https://www.nrb.hro.or.jp/pdf/ventilation.pdf



■住宅の最後の仕上げとは?

 私の恩師がこんなことを言ったことがあります。『温度は建築の最後の仕上げだよ』
 温度とは、室内環境を代表するもの、と考えて良いですね。北海道では住宅の断熱気密化が進み、温度環境は黙っていても快適な『仕上げ』、ができるようになりました。今、全国で健康住宅への関心と関連して高断熱を普及しようとしていますが、なかなか広がりを見せていません。北海道で家を持つ人は幸せです。
 さて話を元に戻して、温度の仕上げが終わっても、環境の仕上げが終わった訳ではありません。空気の仕上げです。温度と同じように多少みっともなくても(空気が汚れていても)、慣れてしまえば暮らして行くのに不都合はありません。人間は、寒さ暑さは感じ易いのですが、空気の質には鈍感なので、ひどい空気の中でも気付かず暮らしている人が大勢います。でも、「直ちに健康を損なう訳ではありません」。何処かで聞いたことのあるフレーズですね。要は、人や建物の健康障害リスクが高まるということなのです。現れるまでとても時間のかかるリスクですから、多くの方には実感できないのです。
 本当の高性能住宅を手に入れた方たちには、是非、建物の最後の仕上げ、空気を守る換気にもう少し配慮とお金をかけてほしいと思います。
 
(おわり)


posted by パッシブシステム研究会 at 08:14| Comment(0) | コラム

2017年09月21日

コラム「換気システムの課題とこれからの住宅換気」・その5

【コラム】北海道科学大学工学部建築学科教授・当会副理事長 福島明先生
「換気システムの課題とこれからの住宅換気」

5.自然換気という選択

 シックハウス新法ができて、機械換気でなければダメ、とお考えの方が多いのではないでしょうか?
 法律は、機械換気の設置を義務付けていますが、自然換気を禁止しているわけではありません。
 自然換気で換気が確保できる時に自然換気を有効に使うことは、省エネルギー上からも、推奨されるべきことなのです。

■自然換気の系譜

 内外の温度差(煙突効果)を利用した自然換気は、世界中でその実例をみることができます。日本の伝統的民家では、棟に排気のための開口を設け自然排気を行う手法が共通してみられる(写真1)し、欧米の古い住居では、住宅の屋根上には排気塔林立しています。
 高温乾燥の気候で知られるイランでは一般住居のほとんどに自然換気用煙突、バッドギアが備えられています(写真2)。温暖な気候のバルセロナに建つガウディー設計の住居に見られる排気トップのデザイン(写真3)はあまりにも有名です。自然換気自体は、これらの例を待つまでもなく、生活の知恵として古くから利用されてきた、住居の基本的な技術なのです。


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写真1 日本の民家(タギ氏)


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写真2 イランのバッドギア(タギ氏)


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写真3 ガウディの排気塔


■日本の木造住居と自然換気

 日本の在来木造住宅は、欧米の住宅とは建物に対する姿勢が根本的に異なります。“夏を旨とすべし”とは、日本の住宅づくりの教えですが、意図的にあらゆる部分に隙間を作り、湿気の外と内との区別を徹底的に無くすことを目指した技術です。床に使われる畳は最も特徴的で、床下からの空気や湿気を速やかに通すことで耐久性を保ちながら室内の通風にも寄与しています。こうした隙間換気は、室内に空気のよどみをなくし、絶えずすべての部位が空気にさらされる構造を作り出しています。
 こうした床面の隙間から外気をバランスよく取り入れる、優れた日本の木造住宅の特性を気密化住宅に再現しようと、基礎断熱工法の床下を給気チャンバーとした方法を提案しました(図1)。床下を利用し、内壁や床周りを従来通りの工法で作り上げることによって、日本の木造住宅の特質を断熱気密住宅に取り戻すことができました。床下空間から室内に空気を導入することに抵抗もありますが、もともと日本の住宅では室内空気の相当量が床下から供給されてきましたし、断熱や気密層がなく、隙間だらけの床で仕切られた室内と床下空間との間に違いがあるとは思えません。変動は有っても連続した換気と安定した空気の流れを実現し、機械換気の持つ運用や保守に関わる不安をほとんど持たない運用上の信頼性が極めて高いシンプルなシステムとなりました。自然の変動はむしろ望むべき方向で、居住者の空気質に対する感覚の鈍化を防ぎ、換気の行動に向かわせることも期待できると考えています。


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図1 パッシブ換気のアイディア


■中間期と温暖地

 住宅の断熱化は、室内外に自然の温度差を拡大し、温度差を動力とする自然換気の利用範囲を大きく拡大しました。札幌では、盛夏の二ヶ月を除いて自然換気が可能になったし、温暖地でも自然換気の可能性が高くなりました。図2)は、札幌における年間の自然換気量です。暖房していない期間の内外温度差は10℃程度です。これは温暖地に建つ断熱住宅で生じる中間期の温度差そのもので、寒冷地と温暖地の差は単純な開口設計の問題なのです。断熱性を高めた住居では、自然温度差が拡大し、オーバーヒートの可能性が高くなります。断熱化や日射取得熱の増大といったパッシブ的な省エネルギー対応は、室温上昇をいかに押さえるかという課題がつきまといます。温度差を主要な換気動力とする自然換気は、室温上昇時に換気量が増大し、大きな排熱効果を期待できます。一見無駄に捨てられるエネルギーに見えますが、温度上昇時に換気量を大きく高めることは、自然エネルギーの有効な活用方法の一つなのです。一定換気ではなく、室温変化に応じて換気量を自動調節可能な技術を機械換気で実現する事は容易ではありません。これこそ、自然換気の優れた特性なのです。


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図2 パッシブ換気の年間変動


■宇宙船と民家

 断熱気密化は、大手ハウスメーカーにも広がり、 高性能な住宅を提供する地域工務店にも手ごわい相手になってきました。 彼らが目指す住宅とそれとは対極の住宅を、宇宙船と民家に例えて比較してみました。(表1)  
 地球の大気や海洋が宇宙の変動を緩和し、すばらしい自然環境を私たちに与えてくれているように、変動に満ち溢れた自然環境を許容できる範囲にとどめるのが建築の役割です。
その変動を外乱と呼び、一定環境を理想として機械に頼ってそれを実現しようとしていうのが宇宙船型住宅です。窓はもはや外乱でしかなく、熱も日射も遮断し高性能な設備で室内環境を作り出すという考え方です。徹底的に外乱を排除し、日射のエネルギーは太陽電池で発電し、バッテリーで蓄えて利用します。これに対して、建物の工夫によって機械への依存を減らし、穏やかな変動を実現することを目指す住宅を民家型としました。
自然換気はそのキーアイテムとなりえます。地域工務店がいかに戦うのか? 自然換気をきっかけに考えてみるのもよいかもしれません。


表1 宇宙船型住宅と民家型住宅

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(つづく)

posted by パッシブシステム研究会 at 08:07| Comment(0) | コラム

2017年08月19日

コラム「換気システムの課題とこれからの住宅換気」・その4

【コラム】北海道科学大学工学部建築学科教授・当会副理事長 福島明先生
「換気システムの課題とこれからの住宅換気」

4.熱交換はお得か?

 新しい省エネルギー基準では、熱交換換気装置を導入すると断熱仕様を低くできることから、安易に導入しようとする人が増えています。熱交換換気装置のどこが、どう、お得なのか、お得でないのか、考えてみます。

■省エネルギー効果

 省エネルギー性についてですが、私は、かねてから、熱交換換気装置の省エネルギー性については疑問を呈してきました。断熱が進んで熱損失が小さくなると、換気の熱損失の割合が大きくなるので、計算上、とても大きな効果があるように見えます。図1は、ある換気メーカーが公開している換気装置の省エネ効果です。隙間換気を考慮して、内外温度によって給排気をコントロールすることでファン動力を3種換気並みに抑えた最新鋭の装置です。熱交換効率は80%以上に達します。この結果、札幌だと7万円、関東でも2万5千円の省エネ効果があると主張しています。これは、ちょっとした高断熱住宅の年間暖房費支出に匹敵する金額になります。一般的な暖房用エネルギー消費量と同じ熱回収効果が得られる、暖房費が「ただ」になるということですね。


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図1 メーカーが作成した換気のコスト


 こんなパラドックスが起こるのは、二つの理由があります。一つは、回収した熱量をそのまま、省エネルギーとして計算しているからです。確かに回収した熱量としては正しいのですが、実はそこに誤解があります。これでは、暖房必要温度以上の時間帯や、暖房していない時間の熱回収も計算してしまいます。もし、この時間に熱回収をしていなかったとしても、暖房負荷は生じませんね。特に断熱性が高い家では、内部取得熱の効果が高まり、冬季でも暖房の不要な時間が増えてゆくため、こうしたことが起きやすくなります。
 もう一つは、隙間からの換気や台所レンジファンなど、その他の換気を全く考慮していないことです。ここで、暖房時に機械に頼る部分がどれくらいなのか簡単な試算をしてみました。隙間や局所換気の運転、屋外との出入りで、0.2〜0.3 回 / h程度の換気が起こります。全体換気を 0.5 回 / hとすると機械換気装置に期待されるのは0.3 回 / h程度というのが実態でしょう。


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 図2は、年間負荷計算をして求めたエネルギー消費量です。冬季の隙間換気量を考慮した結果ですが、換気装置の導入効果は、札幌で1万4〜5千円、東京で6〜7千円程度の差しかありません。

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図2 動的計算による暖房費の比較


 それでは、熱交換換気装置の実質的な回収効率はどの程度と考えるべきでしょうか? 隙間換気を0.2回/hとして予想される熱回収効率を試算したものが図3です。トップランナーの熱交換効率 90%で回収すると最終効率で 54%、国内の一般的な装置は熱交換効率 50%程度ですから、最終効率で 30%となります。まるで、すべての換気を熱交換換気装置で行っているかのような表現が見受けられますが、実際は、装置の効率がどんなに良くても、実質の効率はこの程度、と考えるべきです。

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図3 隙間換気やその他の換気を考慮した熱回収効率


 次にファン動力を含めた省エネルギー効果を比べてみましょう。ファンの電力消費は、DCファンなどを用いても年間 500 KWにも達します。ファン動力の成績係数1ですが、エアコン暖房の成績係数は3ですから、回収できる暖房エネルギーがファンの電力消費量の3 倍で差し引き0、導入効果を実感するには 5倍ぐらい、2,500 KWくらいないと意味がありません。たとえ、超高気密住宅が実現したとしても、これが実現できるのは、寒冷地だけでしょう。図4は暖房費とファン動力費を合わせて比べています。国内で多く用いられている比較的効率の高い熱交換換気システム(熱交換効率60%、DCファン)をあわせて示していますが、東京でも札幌でも、熱交換換気装置の設置によって、かえって費用が増大します。経済性だけでは判断できないことが理解いただけたでしょうか?

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図4 暖房費とファン動力費


■室内環境の向上効果

 室内空気環境をより高めたい時、熱交換換気装置は大きな役割を果たす可能性があります。まず、ダクトシステムを持つものがほとんどですから、必要な場所に必要なだけの新鮮空気を計画的に供給することが可能です。単純な3種換気に比べて、室内の空気分布を大きく改善が期待できます。また、より多くの換気をしようとする場合、一般に空気環境と省エネルギーは相反する関係にあると言われています。空気質を高めようとすれば換気量を増やすことになりますが、省エネルギーには反するというわけです。ですから、換気量を増やしてもエネルギー消費量の増加が僅かな熱回収換気装置は、換気量を増やした時に絶大な省エネルギー効果を発揮するのです。
 図5は、換気回数を0.7回/hとしたときの単純換気との比較です。熱回収換気では機械換気0.5回/h+その他の換気0.2回/hとして計算しました。換気量を増やすと、省エネルギー効果が明確に現れます。熱回収換気を加えることで、基準以上の換気量を確保し、気持ちのよい室内空気環境を求めれば、そこには熱交換器の大きな可能性があるのです。


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図5 換気回数0.7回/hで比較した結果


 また、熱交換換気装置には、もう一つ大きな利点があります。それは取り入れ外気の予熱です。取り入れ外気による寒さは、断熱住宅にとって最大の課題です。図6は、壁面の自然給気口から侵入する冷気の流れです。この寒さが換気装置を止める最大の原因の一つなのです。快適性を損なうことなく良好な換気を実現できる、そうした意味で、熱交換のメカニズムは、確かに大変魅力的です。エネルギー消費の削減効果は住宅の条件に大きく左右され、実質的にはさほど大きくはありません。しかも、取り入れ外気を予熱し寒さを防ぐことによって、換気を継続できることこそが、大きなメリットなのです。特に、最近の高効率な換気装置は給気温度がほぼ室温で入りますから、全く寒さを感じさせないことが可能で、吸排気位置の制約は殆どありません。

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図6 自然給気口からの冷気の流れ


■換気装置に働いてもらうために

 熱交換換気の効果を実感するためには何が必要でしょうか?高効率な熱交換換気装置の開発が進んでいます。当然、高価な設備になってゆきますが、それに見合った効果を享受するためには、設計や施工、保守対応が大切なことは前に述べたとおりです。帯電型の除塵機や、トルネード型の外気取り入れフードなど、保守を減らすだけでなく、圧力損失が極めて小さく、経時的な圧力損失の増大もない装置が売られています。こうした換気量を増やしながら、保守を減らす技術もこれからの換気技術には大きな効果をもたらすものと期待しています。
 空気は、住宅環境の最後の仕上げと言ってもいいものです。しかし、空気質が低下しても多くの居住者は全く気づくことはありません。だからこそ、確実に換気を維持し、良好な空気質を維持する事のできるシステムとすることが、熱交換換気装置を取り扱う人たちに強く求められるのです。



posted by パッシブシステム研究会 at 09:57| Comment(0) | コラム